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どこか懐かしさがありつつも時代感を演出できると評判なのが、『エドウイン』のアーカイブを今どき目線で甦らせた「イエロータブ」シリーズ。秋のおしゃれ、その即戦力候補をずらりと紹介します。
ある程度年齢を重ねて大人のおしゃれを意識するようになると、着こなしはシンプルになっていくもの。そうなるとコーデはグッと洗練されていきますが、意外なところに落とし穴があったりします。そう、シンプル過ぎるが故に、単にコンサバな装いに陥ってしまう恐れがあるのです。そこで強い味方になってくれるのが、『エドウイン』の「イエロータブ」シリーズ。トレンドのど真ん中ともいえるワイドかつ特徴的なシルエットを描くアイテム群は、それを一点投下するだけで絵になる着こなしが構築できます。加えて、デニムメーカーらしい本格志向の仕立てなので、ただ奇抜なだけではない個性を感じる装いに落とし込めるのです。現在、同ラインはECのみでの展開。周囲と被りにくいというのもうれしい要素です。
そんな要注目の「イエロータブ」ですが、ただデザイン一辺倒なラインではありません。その裏にはあるユニークなコンセプトや生い立ちを読み解くことで、より愛着が湧くことでしょう。
このシリーズのベースになっているのは、『エドウイン』が1980年代から1990年代にかけてアメリカや欧州向けのラインとして展開していた、いわゆる輸出モデル。90年代に欧米で大ヒットした「エドウイン スポーツシリーズ」の「ハカマ」や「カタナ」といったモデルも、アーカイブから復刻されています。ちなみに、「イエロータブ」シリーズを特徴付けるヒップポケットのタブは、1981年に発売されて欧米で人気を博した「ロンドンスリム」や「ニュートンスリム」といったレガシーデニムのタブの配色をリバイバルしたもの。特徴的なステンシルロゴは、これまた90年代に欧米で親しまれていたモデルを現代に甦らせたものなのだとか。90年代リバイバルであり、逆輸入的なセンスも感じられるところも魅力の1つといえます。
なお、「イエロータブ」にラインアップされたジーンズのシルエットは、ワイド、バギー、テーパードといったトレンドど真ん中のものが中心。もちろんただの復刻ではなく、今の時代感を意識したアレンジや調整も抜かりなく施されているので、即戦力になってくれること必至です。着こなしやすいブラックデニムやライトブルーデニムに加え、90年代テイストみなぎるケミカルウォッシュや、オーバーダイのような味出しデニムといった個性派の選択肢も豊富。何本かを使い分ければ、コーデの振り幅を広げる心強い味方になってくれること請け合いです。
「イエロータブ」シリーズとはなんだ? という疑問が解けたら、この秋の最新ラインアップをチェックしてみましょう。ブランド史上1、2を争う極太バギーシルエットで、復刻モデルがすでにストリートでも人気沸騰中の「ハカマ」の新色を筆頭に、良い意味でクセのある個性派が揃い踏みしています。
極太シルエットながら履きやすい、膝下すっきりめのバギーパンツ「カタナ」
こちらは、1997年に発売され、大流行した「カタナ ワイドテーパード」のリバイバルモデル。ワタリをワイドに設計しつつ、裾に向かって程良くシェイプされているのが特徴。ちなみにこのモデル名は、刀で水平にスパッと切ったような形状の前ポケットが由来になっているのだとか。裾にクッションを持たせる履き方も悪くないですが、写真のように若干丈を短めにするとこの特徴あるシルエットをより印象的に見せられます。
ワイドパンツの装いに差がつく迫力満点の極太ストレート「ハカマ」
「ハカマ ワイドパンツ」という名前が物語るように、超極太なシルエットはまさに袴のごとし。こちらは裾周りをシェイプしておらず、ワタリから裾に向かってストンと落ちるワイドストレートに仕上がっています。上の「カタナ ワイドテーパード」と同じく、サイズ展開はユニセックス。女性がハイウエストではいてもサマになります。こちらも裾クッションなしで、ジャストか少し短めのレングスではくとストレート感が引き立ってきれいなワイドシルエットを描き出せます。
程良いワイド感の「ニュートンスリム」は、ワイドパンツデビューに最適!
こちらの「ニュートンスリム」は1981年にアメリカとヨーロッパで先行発売され、当時のストリートを席巻したアイコン的なモデル。ワタリや腰周りにたっぷりとゆとりを持たせる一方で、膝下をグッと絞り込んだ独特のワイドテイパードフォルムが特徴です。裾周りのもたつきを防止してくれるので、太過ぎるパンツに抵抗がある人は、この1本から始めるのも手といえるでしょう。
日本発信のボンタンを、今どきアレンジでグッと新鮮に!
「ベルトタック ボンタン」というモデル名を見ればピンとくる人も多いはず。そう、こちらは懐かしのボンタンを彷彿とさせるボリューミーなフォルムを、時代感を意識したシルエットに落とし込んだモノ。深めのフロントタックを効かせた腰周りに加え、太腿から膝周りにかけてのサイズ感もかなりゆったりとしています。しっかりとコシのあるデニム素材が、その特徴的なワイドシルエットを引き立ててくれます。
サイドシームが存在感満点の「サイドバータック ワイドテーパード」
こちらの「サイドバータック ワイドテーパード」はサイドの装飾が見どころ。左右のサイドシーム側の生地を切り替えることで、それが側章のようなアクセントになってくれます。シルエット自体はワイドテーパードで、深めの股上に対してタックを施した分ヒップ周りをゆったりと演出。リラックスした印象の着こなしに仕上がります。ヒップポケットがちょっぴり大きめなので、力強い印象のバックスタイルも描き出せますよ。
男気溢れる装いを狙うならワークの香り漂う極太ペインター
ワイドパンツの装いにワークっぽい男らしさが欲しいときは、こちらの「ワイドペインター ワイドパンツ」の出番です。ペインターパンツの基礎に倣い、左腿裏にはハンマーループ、右腿裏にはスケールポケットを装備。ワタリと裾幅の落差がほとんど感じられない、超ワイドなストレートシルエットも迫力満点で、男らしさがみなぎる出来栄えです。濃紺のワンウォッシュなら温故知新な装いに、ライトインディゴブルーなら清々しさも加味できます。
インナーとしても役立つ、オーバーサイズのポケットTもチェック
「イエロータブ」のラインアップは、パンツだけにあらず。実は、こんなに爽やかなTシャツも用意されています。ボディはしっかりとした厚みとハリを持たせたコットン仕立て。今風に肩を落としたボックスシルエットは暖かな日に1枚で着るのはもちろん、この上からざっくりとアウターを羽織った際にも引き立て役として活躍してくれます。左袖には、シリーズを特徴付けるタブも配置。さりげないレトロ感を主張してくれます。
キャッチーな後ろ姿を狙える、腰プリントが大胆なオーバーサイズT
前からの見た目は、いたってプレーンなポケットT。ですが、くるりと振り向くと腰周りにタブと同じグラフィックのバックプリントが鎮座しています。単品で着ても見どころを作れますが、Gジャンのような着丈の短いアウターを着ることで威力を発揮。このグラフィックがちょうどちら見えするので、レイヤード上級者なコーデを楽しむことができるんです。なお、このTシャツのフォルムも上記のアイテム同様肩線を落としたボックスシルエット。リラックスした印象で着こなせます。
この秋のニュースの1つとして見逃せないのが、Gジャンの加入。11月中旬にリリースされる「ビッグフィットGジャン」は身幅にゆとりを持たせ、肩幅もグッと広く設計したボックスシルエットが特徴です。同時期に新色が投入される「カタナ」、「ハカマ」などと色を合わせ、セットアップとして着こなすことも可能。その新色も、ブラックケミカル、レッド、グリーン、キナリ(生成り)と個性派揃い。Gジャンはヘビーアウターのインナーとしても活躍するので、色挿しのためにチャレンジしてみるのも面白そうですね。
執筆/遠藤 匠
構成/TASCLAP